私たちは何かが起こった後で、「やっぱりね、そうなると思っていたよ」などと言うことがよくあります。
このように結果がわかってから、あたかも前もってそれを予想していたかのように思ってしまうことを、後知恵バイアス(後講釈)といいます。
後知恵バイアスはスポーツニュースの解説なんかでよくみられますね。
試合終了後に、得意げな顔でコメントをしている解説者の姿が思い浮かびませんか?
僕が株式投資をしているときにも、よく後講釈をしてくる人がいました。
「この株が上がるのはわかっていたんだから、何で買わなかったんだ」とか。
そりゃ前もって上がることがわかっていたなら、絶対に買いますよ…
後からなら何でもいえます。
46人の被験者に、アガサ・クリスティー(イギリス生まれの推理作家)が書いた本の数を推定させたところ、回答の平均値は51冊でした。
後日、被験者に対して正解が67冊だったことを告げ、自分の回答を思い出すように言ったところ、その平均値は63冊に変わりました。
つまり、正解を知った後では、自分がより近い予想をしたと思い込んでしまう人が増えたのです。
これは実に面白い実験結果だと思います。
私たち人間は、結果がわかった後ではそのことが印象に残り、事前に予想した値を過大評価してしまう傾向があるのです。
このような後知恵バイアスは、利用可能性ヒューリスティックによって生じると考えられます。
利用可能性ヒューリスティックについては、リンダ問題|連言錯誤の記事で詳しく解説しています。
例えばバーゲンセールで半額で買い物ができて喜んでいたのに、後になってその品物が粗悪品だとわかった場合。
「どうせ安物だから悪い品だと思ったんだよ」
このように考えてしまうのも、後知恵バイアスの例です。
「わかってたんなら最初から買うなよ」とは、言わないであげてください。
後知恵バイアスは、自分がしてしまったことを正当化するのに必要なものなのです。
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