「ピザって10回言ってみて」
ピザピザピザピザピザ…
「じゃあ、ここは?」(肘を指されて)
ひざ!
昔、こんな遊びが流行りましたよね。
これはアンカリング効果と呼ばれるもので、印象に残った数字や情報が、その後の判断に影響を与えることを意味します。
この場合は、直前に10回言った「ピザ」がアンカー(錨)となり、「ひじ」を指されたのにもかかわらず、つい「ひざ」と言ってしまうのです。
この手の遊びはまだまだ他にありますが、少し違う例を用いて、アンカリング効果の説明をしてみましょう。
【問1】
オランダの人口は3千万人より多いか、少ないか?
【問2】
では、オランダの人口は何人だと思うか?
この問題では、問1でどちらと答えたかに関係なく、問2では3千万人に近い数字を答えた人が非常に多いです。
※正解は、オランダの人口は約1600万人
これは3千万人という数字がアンカーとなり、その後の答えに影響を及ぼしていることを示しています。
オランダの正確な人口を知っている人は少ないでしょうから、直前に出された数字につい引きずられてしまうのです。
アンカリング効果は、セールスなどでよく使われる常套手段です。
最初に提示された高額な値段を基準にして、高い買い物をしないように、ぜひ気をつけてくださいね。
株式投資において、代表的なアンカリング効果は高値覚えと安値覚えではないでしょうか。
あなたがよく知っている株が、短期間で1000円から500円の半値になったとします。
するとあなたは、この株を安いと感じるかもしれません。
確かに1000円を起点にして考えると安いかもしれませんが、重要なのは企業のファンダメンタルや、それを取り巻く相場環境の変化であって、本来であれば1000円という価格は何の意味も持たないはずです。
しかし、多くの投資家は1000円という数字が印象に残っているため、その価格を基準にして割安か割高かどうかを判断します。
これが高値覚えです。
このように、理屈上では何の意味も持たないはずの価格も、実際の株式市場においては支持線や抵抗線など、重要な売買のポイントになることがあります。
これが株式市場の難しいところです。
株価を動かすのは人間(投資家)ですから、多くの人が意識すればその数字に意味が生まれるのです。
特に1000円や1万円といった節目の価格や、半額や倍額という価格は印象に残りやすいです。
ですから、半値押しや半値戻しといった売買のポイントも、あながちまったくでたらめと言い切ることはできないのです。
とはいえ、私が実際の売買で使うことはないでしょうが…
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