【ゲームのルール】
このゲームは100人のグループで行います。
まずそれぞれ一人ずつに1~100までの整数を1つ選んでもらう。
次に全員の選んだ数値の平均値を出す。
その平均値の0.7倍に最も近い数値を選んだ人を勝者とする。
少し問題がわかりにくかったかもしれませんね。
では実際に、このゲームで勝者になるための思考のプロセスを推測していきましょう。
例えば7が好きとか、人によって好みの数字はあるかもしれませんが、全員の選んだ数値の平均値はおおよそ50になるでしょう。
なので50×0.7=35が、最も近い数値だと考えられますが。
全員が同じように推論した場合、その0.7倍である35×0.7≒25が候補になります。
しかしここでも全員が同じなら、さらに0.7倍の17が候補に。次は12が候補となります。
この思考のプロセスを続けていくと、最終的には全員が1を選ぶというナッシュ均衡に収束します
ゲーム参加者が互いに最適な戦略を選択した場合。
自分一人だけが違う戦略を取ろうとすると利得が低くなってしまうので、自ずと現状に留まろうとして均衡状態に陥ってしまうこと。
これをナッシュ均衡といいます。
ゲーム理論の非協力ゲームのモデルで、囚人のジレンマが有名です。
ちなみにある実験で、実際にこのゲームを行ってみた結果。
回答の平均値は25~40になったそうです。
生身の人間がこのゲームを行った場合、最初のプロセスにはたどり着いてもそれ以降の推論は想像しにくいのでしょう。
この問題は経済学者ケインズの美人投票の話がもとになっています。
ケインズの美人投票では、例えばある美人コンテストで1位に投票した人が賞品を貰えるような場合。
自分が最も美しいと思う女性を選ぶのではなく、他者が最も多く投票するであろう女性を選ぶべきと考えます。
さらにケインズは、株式投資を美人投票のようなものだと見立てました。
つまり株式投資で利益を得るためには、自分が値上がりするであろうと思う銘柄を選ぶのではなく、市場参加者が最も好むであろう銘柄を選ぶべきと考えるのです。
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