人が感じる主観的な確率は、実際に生じる客観確率とズレがあります。
図のように確率が非線形で重みづけられていて、低い確率が過大評価され、中間から高い確率は過小評価される特徴があります。
代表的な例では飛行機の墜落事故があげられます。
飛行機の墜落事故が起きるとニュースで大きく取り上げられるため、強く印象に残り、飛行機事故の確率が過大評価されます。
すると、車の運転は平気なのに、飛行機に乗るのが怖いということが起こるのです。
飛行機が墜落する確率より、車で事故を起こす確率の方が圧倒的に高いのにもかかわらず。
このように、思い出しやすい事例を起こりやすいと錯覚してしまうことを、行動経済学では利用可能性ヒューリスティックといいます。
最近起きた出来事や強く印象に残った出来事は、記憶から取り出しやすいために心理的バイアスがかかりやすいのです。
他に有名な例としては、映画『ジョーズ』が流行ったときに、サメを恐れる海水浴客が増えたそうです。
実際、海水浴場でサメに襲われる確率はほぼ皆無ですが、それだけ映画に強いインパクトがあったということでしょう。
かく言う私も、ジョーズを観たあとはしばらく海に入るのが怖かった記憶があります(笑
では、株式投資においてはどんな場面で利用可能性ヒューリティクスが働くでしょうか。
しかしその前に、株式市場で起こるほとんどの事象は生起確率を求めることができません。
ですから過去の統計から予測することが多いのですが、企業のファンダメンタルやそれを取り巻く相場環境、また市場のルール自体なども常に変化し続けているため、株価の動向を予測することは当然のことながら容易ではありません。
また、同じ不確かなものでも、生起確率がわかっていたり、過去の出来事からある程度予測がつくものをリスク。
これから何が起こるかまったくわからないものを、不確実性と呼び分けたりします。
話を元に戻すと、直近できわめてインパクトの大きなニュースがあったとしましょう。
すると、多くの投資家はその情報をもとに売買をします。
この行動は当たり前に感じるかもしれませんが、少ない情報で確率を過大評価してしまうのは危険です。
結局は主観的な確率から判断することになりますが、バイアスにかかっていないかどうか意識するようにしてください。
また最近では、ゲーム『パズドラ』の大ヒットで、ガンホーの株価が急騰しました。
これによって関連株だけでなく、ゲームセクター全体が物色される動きが見られましたが、これも利用可能性ヒューリティクスの一種といえるでしょう。
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