エルズバークの壺|曖昧性の回避

エルズバークの壺|曖昧性の回避株式投資に役立つ心理学023443023443

二つの壺A,Bがあります。

Aの壺のなかには赤い玉が50個、白い玉が50個入っています。
Bの壺のなかにも赤い玉と白い玉が入っていますが、その内訳はわかりません。

赤い玉を引けば1万円もらえるとしたとき、どちらの壺を選びますか?

未知の確率と既知の確率

この問題では、どちらの壺を選んでも赤い玉を引く確率は変わりません。
Bの壺の中身は白い玉ばかりかもしれませんが、赤い玉ばかりかもしれません。

だから、Bの壺も赤い玉を引く確率は5割なのです。
壺のなかに玉を入れた人が、意図的に白い玉ばかりを入れていたら話は変わりますが、この問題では無作為に玉は入れられたと考えましょう。

なので、どちらの壺を選んでも変わらないのですが、ほとんどの人はAの壺を選びます。

この気持ちはわからなくはないでしょう。
確かに中身の内訳が不明なBの壺は、なんだか気味が悪いです。

だったら、確率がわかっているAの壺を選んだ方がいいということでしょう。
たとえ五分五分の確率、運任せだとしても。

まあ、この問題の場合は外れてもリスクはないですからね。
金額もさほど大きくはないし。

でも、仮に赤い玉を引いたときの賞金が1億円で、外れを引いたときの罰金が1千万円だったとしたら?
それでも分のいい掛けにはかわりませんが、尚更Bの壺は選べなくなるんじゃないでしょうか。

このように人は確率が測れるものを好み、測れないものを嫌う傾向があります。
これを曖昧性の回避といいます。

不確実性とリスク

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不確かなもののなかでも、生起確率が求められるものをリスク。
何が起こるかわからない確率が計測不能なものを、不確実性と呼び分けたりします。

現実の世界で起こるほとんどの出来事が、不確実現象です。
株式市場も同じで、計測可能なリスクはほとんどありません。

リスクがわかっているという人は、勘違いかリスクを甘く見積もっているだけでしょう。
株式市場で起こる事情は、ランダムというよりもカオスに近いと私は思っています。

能力仮説

曖昧性の回避にはいくつかの特徴があります。

たとえば自分に知識や経験があり、精通していると思う分野では、主観的確率の基づいて行動します。
その事象の生起確率を推定する能力に自信があるからです。

逆に自分がまったく知らない分野では、冒頭の問題のように五分五分の賭けに出た方がマシと考えます。

株式市場に精通していると思っている人は、コイントスよりも株式に投資するでしょう。
でも、株を全く知らない人はコイントスに賭けることでしょう。

他では、自分よりも知識や経験がある人と比較したときに、曖昧性の回避行動が強くなる傾向があります。

このように、私たちは意思決定の際に確率を頼りにしますが、それは意外とあやふやで曖昧なものなのです。


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